ミラー ハリスは調香師リン・ハリスによって2000年に設立された、英・ロンドン発のクチュール・フレグランス・メゾンです。
ミラー ハリスは、香りの表現の可能性を追求しながら、天然素材の美しさを最大限に活かしています。
そのミラー ハリス「ストーリーズ コレクション」に新たな香り「メロディ オーデパルファム」が新登場します。
Melodyメロディ
香調:フローラル ムスク

現代のロンドンを舞台にしたケイレブ・アズマー・ネルソンの小説『オープン・ウォーター』の一節から着想を得た、愛と憧れの余韻を感じさせる、エレガントなフレグランス。
心地よさと深い親密さを感じさせてくれるこの香りは、 肌にシームレスになじみ、幾重にも広がる様々な感情を呼び起こします。
暗い中でバスを待ちながら、きみはパーカーを着た。彼女のにおいだ。
ちぎれた花のような、咲き誇っていたのを手折られた夏のラベンダーのような甘いにおい。ヘッドホンをつけ、ケルシー・ルーのアルバム『チャーチ』をかける。オーケストラのような調べが繰り返され、ひたひたと静かな高まりへと導かれてゆくアルバムだ。
今この瞬間、きみはどこにでも行ける。
目を閉じ、彼女の存在に、そこにいないせいでよけいに重みを増した存在に包まれて。けれどきみが向かうのは家だ。そのメロディーの中で、パーカッションのパートに滑りこみ、ゆっくりと呼吸しながら。
『オープン・ウォーター』(左右社、2023)
ケイレブ・アズマー・ネルソン 著/ 下田明子 訳
【Fragrance Note】
Top Notes
ブラックカラント | ベルガモットEO* | ステムアコード | バジルEO*
Heart Notes
ダマスクローズアブソリュート* | ラベンダーアコード | セイロンティー
Lasting Impressions
ホワイトムスク | バニラ | シダーウッドEOアップサイクル** | カシミアウッド
About Stories Collection
まるで小説のページをめくるように、フレグランスは纏う人とその周囲に物語を想起させるもの。
有名な文学作品から選んだ1ページの文章だけをインスピレーション源として生まれた5つのフレグランスは、 纏う人に物語の情感を伝えてくれることでしょう。
Celadonセラドン
香調:フローラル グリーン

「青磁」を意味するセラドンは中国の古典である「紅楼夢」から着想を得て誕生いたしました。 セラドンは纏う人を爽やかな白昼夢の世界へと誘うように、月の幻想的な光の中で輝く、苔が絡み合う翡翠色のセラドンの躍動感を表現しています。
日が傾き、 草が冷たく青白くなり、 両開きの扉を閉じる。 にわか雨の後、 青い苔が鉢を覆い尽くす。
それは翡翠のごとく麗しいが、 汝の無垢さにはかなわない。
白雪のように汚れのない汝の姿に、 我は感動し、 言葉を失う。 汝のすらりとした、 匂い立つような姿は、 繊細で気品にあふれている。 月が第三の刻に達すると、 汝の美しい影が姿を見せ始める。
無垢な妖精のように羽を羽ばたかせ、 飛んでいくなど、 決して言わないでおくれ。
『紅楼夢』
曹雪芹 著
【Fragrance Note】
Top Notes セイロンティー* | トマトリーフ | カルダモン* | バーベナ*
Heart Notes ローズ | バジルローズ* | ソー(プロヴァンス)産ラベンダー* |インド産チュベローズ* | マグノリア
Lasting Impressions バージニア産シダーウッド* | モス | ムスク | マテ茶*
*天然原料Scherzoスケルツォ
香調:フローラル フルーツ スウィート

F・スコット・フィッツジェラルドの小説『夜はやさし』の一節からインスパイアを受けて誕生したフレグランス「スケルツォ」。
調香師のマチュー・ナルダンは、夏の眩しい日差しの下、 鮮やかな花が咲き乱れる中を歩く若い女優、 ローズマリー・ホイトをイメージし、 1930年代のフレンチ・リヴィエラの華やかさを表現しました。
彼女はまた歩き始め、ピンク色の雲のようにかたまって咲いている 多彩なピオニーや、黒と茶色のチューリップ、スイートショップのショーウィンドウにあるシュガーフラワーのように透明でもろそうな、藤色の茎をもつバラの花などを両側に見ながら歩み続け、やがて、色彩の交響楽 ―スケルツォも最高潮に達したが、 急にそれが空中でとだえ、夏の気配の中に消え去った。
『夜はやさし』
F・スコット・フィッツジェラルド 著
【Fragrance Note】
Top Notes タンジェリン | ダバナ
Heart Notes オリバナム | ナルシス | ピットスポルム(トベラ) | ダークローズ
Lasting Impressions パチョリ | バニラ | ウード・ウッド | スウィートノート
Mineirミニア
香調:アロマティック マリン

ヴァージニア・ウルフ著『灯台へ』 に描かれた孤独と個人的な闘いから着想を得た「ミニア」は、同作に描かれた凍てつくような暗い夜の空気を想起させるような香り。
しかし結局のところ、一夜とは何なんだろう。あっという間に暗闇が薄まり、鳥がさえずり、雄鶏が鳴き、波間でめくれた葉のように、淡い緑が鮮やかになる。
だが、夜は次の夜を連れて来る。冬はあまたの夜を蓄え、疲れを知らぬ指でどの夜も公平に、平等に扱う。
夜は長くなり、暗くなる。ときには美しい惑星を空高くに掲げた、明るい夜もある。秋の木立は、荒れ果てつつも、寒々しい暗がりの中で燃え上がるぼろぼろの旗のように閃光を帯びている。
『灯台へ』
ヴァージニア・ウルフ著
【Fragrance Note】
Top Notesグリーングラス | クリスピーセージ | ユーカリプタス | グァテマラ産カルダモン | ミン
Heart Notes シーソルト | コールドエアー | ダークカシミアウッド | シダーウッド | ホワイトフラワー
Lasting Impressions モス | ミルラ | パピルス | パチョリ | ドライウッド
Soufflotスフロ
香調:ウッディ フローラル グルマン

アーネスト・ヘミングウェイの「日はまた昇る」の一節からインスパイアされたフレグランスの「スフロ」。 春の早朝、 パリのリュクサンブール公園を散歩し、 花々の間を通り抜け、 近くのカフェ、 そして、 市場から仕入れたばかりの花が並べられたフラワーショップの前をそぞろ歩いた思い出を想起させます。
朝、 コーヒーとブリオッシュを食べにスフロ通りのほうへ歩いていった。 晴れた朝だった。 リュクサンブール公園ではマロニエの花が咲いていた。
暑い日で、快い早朝の感じがした。 ぼくはコーヒーを飲みながら新聞を読み、 それからタバコをふかした。 花売りの女が市場からやってきて、その日に仕入れた花を並べていた。
『日はまた昇る』
アーネスト・ヘミングウェイ 著 / 高村勝治 訳
【Fragrance Note】
Top Notes チェストナット | グリーンマンダリン** | ヘーゼルナッツ
Heart Notes サンバックジャスミン アブソリュート* | シナモンリーフ* | ハニー
Lasting Impressions タバコアブソリュート* | ペルー産バルサム* | レザー | ラブダナム* |シプリオール* | シャム産ベンゾインレジン | オルカノックス**
*天然原料 **アップサイクル原料Staccatoスタッカート
香調:ウッディ フローラル グルマン

ニューヨークを舞台にしたイーディス・ウォートンの「無垢の時代」の一節から着想を得た香りは、遥かかなたのバザールを連想させます。
良識と欲望の葛藤を表現したジャックミノーとドライローズが織りなす繊細なバラの香りに、甘いハチミツと刺激的なジンジャーが加わり、心惹かれる魅力を放ちます。
彼はたくらみを見破ろうと、手掛かりを探した。
椅子とテーブルの組み方、肘元にある細長い花瓶に2本だけ生けられたジャックミノーのバラ(普通なら1ダース以上買うはず)、そして、その場にはハンカチにつけるようなものではなく、どこか遠い異国のバザールの匂いのような、トルココーヒーとアンバーグリス、ドライローズが織りなす香りがほのかに漂っていた。
これらに糸口はないだろうか」
『無垢の時代』
イーディス・ウォートン著
【Fragrance Note】
Top Notes シナモンリーフ | カルダモン | オーガニックジンジャー | クローブバッド | サフラン
Heart Notes ローズ | サンバックジャスミン / レザー | ハニー
Lasting Impressions タバコ | アンバーグリス | ケード | シャム産ベンゾイン | シダーウッド